雑音の検証

基地局を接続、設置するときは、自分が出す電波以外の「外部雑音」を検証する必要があります。
これには他の無線装置が発する雑音と、その他の環境雑音とがあります。
次の課題は通信電波の「遮蔽」で、金属質の物陰で顕著に発生します。そして3番目の課題が「マルチパス」です。
自分の出す電波が、自分自身の 信号に雑音を与えてしまうという課題です。つまりマルチパスは、置局設計上の3大確認ポイントの1つなのです。
「マルチパス」の置局設計

無線LANの通信を安定させるうえで、マルチパスが問題となる場面は多々あります。
無線装置の送信した電波が、壁や家具に反射して起こる現象であり、無線通信には必ずつきまとう課題です。
マルチパスそのものは、反射波等が原因となって複数の経路から信号を受信してしまい、雑音を生じる現象を指します。
これに時間による電波の変動を含めた状態を指すときは、「マルチパスフェージング」 という用語を使います。
マルチパスは、私たちが身近に経験している課題です。例えばアナログテレビ放送のゴーストもそのひとつです。
航空機や大型トラックの通過、上空の大気の状態によっても、ゴーストは色々に変化します。身近な自然現象によって、必然的に発生してしまうのです。
マルチパスのなかでは、半波長ずれた同じ信号同士の衝突が、最も大きな影響を生じます。
多くの場合、信号が半波長遅れて届くと、前の波と180度位相が異なる信号となります。
その信号強度が同等だと、信号と信号が互いを打ち消し合ってしまい、本来の信号とは大きく異なる電波が受信されます。
マルチパス対策のひとつは、この感度を下げて、反射波をネットワークに取り込まないようにするやり方です。
無線LANのマルチパスが、テレビのゴーストのように目に見える形で確認できたら便利です。それを実現してくれるのが「スペクトルアナライザ」と呼ぶ計測機です。

マルチパス、環境雑音、装置雑音、本来の信号と雑音の比率を示すSNR (Signal to Noise Ratio :信号対雑音比)等の測定に活躍します。
信号成分と雑音成分の差が小さいと、無線LANの導入は大変厳しくなります。
差が10dBm以下の場合には、「何らかの雑音軽減策を講じてからでないと導入できない」とされています。
さらに安定して使うには、この差をもっと大きく確保しなければなりません。各基地局装置ごとに推奨値があるので、それを実現します。
一般的には24dBmを超える値で、かつ、各装置が要求する値を確保します。
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