アクセスポイント同士の電波干渉

IEEE 802.11bでは、さらにBluetoothや電子レンジなど、同じ2.4GHz帯を利用する機器との電波干渉も考慮に入れる必要があります。
ネットワークの用途によっても異なりますが、1台のアクセス・ポイント(基地局)で快適に利用できる無線LANクライアント数は、16台程度までといわれています。
ある瞬間、アクセス・ポイントに接続できる無線LANクライアントは1台だけなので、ほかの無線LANクライアントはその通信が終了するまで待たされることになります。
そのため、1台のアクセス・ポイントを利用する無線LANクライアント数が増えれば、結果的に無線LANクライアントのデータ通信速度が落ちます。
サーバやインターネットに依存した業務を行っているような場合は、5~6台の無線LANクライアントに対してアクセス・ポイントを1台設置するくらいの方が望ましいでしょう。
つまり、無線LANクライアントの台数が多い場合は、複数のアクセス・ポイントがオフィス内に設置されることになります。
電波の干渉

前述のように無線LANの電波は意外と到達距離が長いので、複数のアクセス・ポイントを設置すると必ずカバーするエリアが重なることになる。
そこで問題となるのが、アクセス・ポイント同士の電波干渉である。
IEEE 802.11bの場合、2.412GHzから5MHzおきに第1~14チャンネルまでが日本国内で利用できる(アクセス・ポイントによっては第14チャンネルに対応していないものもある)。ただし、通信には中心周波数の前後11MHz分の合計22MHz分を利用する。そのため、利用する無線周波数が重ならない(電波干渉が生じない)ように設定するには、下表のようなチャンネルの組み合わせにする必要がある。
1カ所に4台のアクセス・ポイントまでならば、電波干渉を起こさない設定ができるわけだ。なお、IEEE 802.11a/bともに、電波ノイズや干渉への対策として、ある程度広い範囲の周波数に分散させながらデータ通信を行うため、アクセス・ポイントを同じチャンネルに設定しても、通信自体は可能だ。
しかし、同じチャンネルに設定していると、一定の確率でアクセス・ポイント同士が利用する周波数が重なり、必ず通信エラーが発生することになるため、データ通信効率は落ちてしまう。
なるべくチャンネルがオーバーラップしないように設置した方がいいです。
前述のように、1台のアクセス・ポイントに対して5~6台程度の無線LANクライアントを割り当てるとすると、最大でも24台しかネットワークに接続できないことになる。

さらに接続する無線LANクライアント数を増やすには、アクセス・ポイントのアンテナを無指向性から指向性に変えて、電波の重なりが起きないようにするなどの工夫が必要になる。
また、L字型のオフィスや柱があってアクセス・ポイントが死角に入るような場所では、通信状態が悪くなる可能性がある。
こうした場合もアクセス・ポイントの設置場所を工夫したり、アンテナの種類を変更したりするなどの対処が必要だ。
一方で、外部やほかの部署に電波が届かないようにする必要がある場合は、窓ガラスに電波の漏えいを防ぐシールを貼ったり、電波のシールド効果を持つパーティションを設置したりしなければならない。
壁があると、その先には電波が届かないような気がするが、IEEE 802.11bが利用する2.4GHz帯の電波はガラスや薄い壁ならば通過してしまうので注意が必要だ。
電波という目に見えないものを扱うだけに、無線LANの設計は意外に難しい。
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