電波の遮蔽効果の把握
例えば、網入りガラスには金網が入っていますが、遮蔽効果は意外に期待できません。窓からの電波侵入を減らすには、電波遮蔽フイルムが効果的です。
電波の減衰は、網入りガラスのようにイメージと現実に差があり、経験知を大切にする方が有効です。
例えば板金は遮蔽効果が高くフローリングの床からは、しばしば階下の無線LANの電波が漏れてきます。
スチール棚の陰の机では、簡単に通信速度が落ちたり雑音が生じます。これは無線通信の2つの特性に起因しています。
雑音は電波の検出感度の下限でも発生することがあり、また正規の通信では、電波の乱れがすぐに同期速度等の低下を招く可能性があるからです。
2つの目的を分けて考える
侵入電波や反射波や環境ノイズ等を遮蔽したい場合
本来の信号が遮断効果によって減衰してしまうのを防ぎたい場合
最も強い遮蔽効果を発揮するのは金属で、鉄筋コンクリートもこれに含まれます。水や紙には中程度の遮蔽効果があります。
人体も水分を多く含んでいるので、周波数が高い方の無線LANでは、通信品質を低下させるケースがあります。
木材や石膏ボード、ガラス等は遮蔽効果が低い方に属します。
窓や壁から侵入する電波を防ぐ手段として、磁性体や金属粉や導電性粉末を混ぜたウレタンなどの発泡材や壁紙が市販されています。
電波の減衰量を明示したフィルムもあります。このほか、壁やガラスに貼るA/4型の電波吸収体も市場に流通しています。
これはアンテナが波長に応じた電波を検出するという特性を活かし、検出信号によって侵入電波を打ち消します。
これらについて費用と効果のバランスを考えて導入するのがお勧めです。
802.11a/b/gの組み合わせでは、特定の場所で問題となる電波を避けるように、基地局を配置するのも1つの手です。
また、偏波特性や指向性アンテナを使って、信号とノイズの差が24dB以上になるよう工夫するというやり方や特定の基地局が雑音源の場合にその出力を弱めてみる手もあります。
これらの工夫と電波遮蔽材の導入を比較して、費用対効果の高い方法を選びます。
気を付けねばならないのは、電波侵入の遮断が、他方で反射を呼び込んでしまい、ノイズを防ぐ手段の導入が、同時にフロア内のマルチパスを増やしてしまう可能性があるのです。
遮蔽物がどの程度電波を反射しやすいか、あるいは吸収しやすいかは、表面の形状や電波の周波数等によっても複雑に変化し、遮蔽効果の高さとは別の問題です。
電波の吸収ではなぐ反射によって遮蔽効果を生じている場合があるので注意が必要です。
情報漏洩対策
屋内から屋外へ漏れる電波を弱めたい場合、暗号化システム等を併用することで、電波漏洩防止の方はほどほどに留める場合と比べてみる必要があります。
パソコンのモニタケーブルに特殊な無線装置を付けて、画面を盗む手口もあります。
これには電波の遮断よりも、不審な電波の発信源を探知する盗聴防止技術が有効です。課題そのものに直接対処する技術を組み合わせるのがコツです。
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